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新製品

2009.01.21(22:19) 277

治療での一時、いつものように、ディスポーザブルの包装されている鍼を取り出し、治療にかかろうと思ったその時、いつも使っている鍼のはずなのに、何か妙な違和感が・・・
はっと、取り出した鍼を見てみると見慣れない付属品があったのです。
今まで使っている鍼は、筒(鍼管しんかん)の中に、そのまま鍼が収まっていたのですが、手にした鍼は柄(鍼柄しんぺい)の部分に、ソケットがついていたのです。

そう言えば、先日新しく鍼を購入したのですが、これが少し改良された新製品であったようです。
鍼新製品
手前が従来の鍼で、奧が新しくなった鍼です。

鍼に馴染みのない皆さんにとりましては、さしたる変化に思われないかも知れませんが、我々にとっては、鍼そのものの品質はもちろん、それを取り巻く品質の向上にはとても敏感です。
例えば、少し前まで鍼を包装している袋が開けにくいといった事がありまして、焦って無理に開けようものなら、中にある鍼を曲げてしまったり、先端を潰してしまったりと、非常にストレスに感ずることが多かったのです。
そう言った要望が多数あって、鍼業者の方はすぐに、開けやすい包装へと改良して頂きました。
鍼灸師という職業柄でしょうか?、僕の周りには、職人気質というか、非常にこだわりがある方が多く(人のことは言えませんが・・・)、業者さんも逐一そういった声に、応えるべく、様々な工夫を施して頂き、本当に頭が下がる思いです。

今回の改良も、従来の鍼だと、鍼管をつかって鍼を打とうとすると、先端にあるストッパーが邪魔になっていました。
改良によって、鍼柄のソケットを取り外しさえすれば、鍼管に入れた状態でそのまま鍼をする事ができ、一手間が省かれることになります。
案外、こうした一手間が無くなることで、治療に良いリズムが生まれて、集中力が増したりするものです。

やはり、道具は使いやすいに超したことがありません。

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天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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ざん鍼

2006.02.10(23:00) 69

先日、新しい鍼を購入しました。
ざん鍼

これは、“ざんしん”と言い、その中でもラッパ型と呼ばれるものです。
一般に鍼というと、針金のような形状をイメージするかと思います。
でも、鍼にも色々な種類があって、前にもお話しした事のある中国の最古の医学書、黄帝内経の中にも、その用途に応じた鍼の紹介が記載されています。
ちなみに“ざん”という字は、ちょっと難しい漢字で
ざん

こんな字を書きます。
この世界で困ることは、パソコンで入力するときに、変換できない字がたくさんあることです。
パッと見、訳のわからない字なのですが、この漢字の成り立ちはなかなかユニークなんです。
左側の金片は、治療器具の素材を現しています。
問題は右側のつくりでが、上の部分は両足を広げた兎を現していて、下の部分はその股の間に割り込んだ兎を表現しています。
つまり、これらの字をまとめると親うさぎの股の間に、子ウサギがもぐり込んだ状態となります。
そこからこの字は、割り込むと言ったような意味に通じてきます。
同じつくりを持つ漢字に讒という字があります。
讒言と言うと、これなども人の中傷を告げ口(割り込ませ)して、その関係を分裂させるような用語として知られています。
鍼の役割としても、気や熱の滞りなどに対して、皮膚の表層部分にこの鍼の先端をあてがい(割り込ませ)、それを取り除くというような場合に使用したりします。
いつも新しい鍼を買うと、子供がおもちゃを買って貰った時みたいに、年甲斐もなくウキウキとしてしまいます。
そんな時、ふと、世間の価値観と少しずれてきているのかな・・・???と感じてしまいます(笑)。

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鍼と針

2005.09.27(00:28) 19

まだ鍼治療を受けたことがない人などは、恐らく“はり”という言葉を聞いただけで「痛い!」というイメージを持たれるのではないでしょうか?
“はり”なんて聞くと、多くの方がこちらの“針”の字を想像するかと思います。
針という漢字から受けるイメージというのは、病院の注射針だとか、裁縫に使う針、もしくは釣り針等を考えてしまうので、治療で用いる“はり”もそれらのものと同様の形状あろうと思っておられる方も多いかと思います。
結果、「“はり”は痛い。」とか「“はり”を刺すと血が吹き出す。」という先入観に繋がってくるのではないかと思います。
しかし、我々が使う教科書や古来から伝わる文献などには“針”ではなくて“鍼”という字が多く使われています。
ただ、この“鍼”という字は、一般ではあまり見慣れないし、“はり”という風に読めない方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか?
それに“針”が“鍼“になったと言っても、漢字そのものから受けるイメージは、却って難しい字になったことで、益々はり治療から敬遠したくなりそうです。
そういったこともあって、現在、恵樹堂では平仮名で“はり灸”と言う風に標榜しています。

実際に、「“鍼“と“針“はどう違うのか?」「鍼という漢字が難しいので、分かりやすく針という風に簡素化されたのではないか?」と言われた時に、僕自身、返答に困ってしまったことがあります。
学生時代には、“鍼”は治療で使うはり、“針”の方は裁縫などで使うはりという風に言われたこともありますが、それだけではなかなか納得しづらいとことと思います。
そこで、針と鍼をそれぞれの字の成り立ちに目を向けてみますと・・・・、

まず、針の字は金偏に十という字で出来上がっています。
ここでの十は数字の10ではなく、辛のことであると思われます。
辛という字は、昔、入れ墨を彫る時に用いられた針の形であります。
つまり、金と十で針そのもののを指すことになるわけです。
では、鍼はと言うと、金偏に咸という字から成り立っています。
この咸という字は、口と戉(ほこ・まさかり)によって形成されています。
この中で口というのは、誓いの言葉や祈りの言葉を収める器を表しています。
その器に聖器である戉を加えて、中の言葉を守る(封をする)という意味になります。
つまりは咸という字で“封じ込める”とか“塞ぐ”などと言う様な意味を持つことになります。
この場合、僕なりの解釈になってしまうので、本当のところはちょっと曖昧なのですが、鍼と言うのが病邪を封じ込めて、病に侵されている身体を健康体に戻すという役割を担うことからこの鍼という字が使われているのではないかと思います。
ただ針を刺すと言うだけではなくて、そこには病気にて身体に生じた問題を、鍼を刺すことによって改善させるという目的があるわけです。
鍼が怖いので、身体が辛くてもなかなか鍼灸治療を受けてみようと思えない方こそ、是非、はり治療を体感して頂きたいと思います。
鍼にも色々な種類がありますが、現在主に使われている鍼は、それこそ髪の毛の細さぐらいのもので、注射針や裁縫針とは比べものにならないくらい細いですし、まして痛いとか怖いなどと言うことはありません。
少しでも多くの方が、町で“鍼”という字を見かけても、すぐ“はり”と言うふうに読んで頂けるよう、日々、皆様の健康に貢献していきたいと思っております。

天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


鍼のお話し
  1. 新製品(01/21)
  2. ざん鍼(02/10)
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