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身の毛もよだつ話

2009.08.29(14:15) 336

富士急ハイランドに総延長1キロ、所要時間1時間にも及ぶお化け屋敷があるそうです。
あまり霊感とかは無いと自覚している僕ですが、人をいかに驚かすかと言うことを生業としているお化け屋敷。。。。決して、怖いという訳ではありません?が、好んで足を運ぼうという気にはなりません。
夏にはこうした肝試しで少しでも涼を求めるという気持ちは分からないでもないですが、僕の場合、涼を求めると言うより、お化け屋敷を出る頃には何か息も絶え絶えと言った感じになり、ドッと疲れてしまいそうです。
高校時代、部活の合宿で学校に寝泊まりした際、有難くもOBの先輩方が企画してくださった校舎内周遊の肝試し大会、あれが今までで僕のベスト肝試しです。
まあ、僕も下級生を脅かす立場になって、脅かす人が、誰もいない真夜中の教室の片隅で、人が来るのを待っている時間、そちらの方が断然怖いと気づいたのですが。。。

僕の知り合いにも、お化け屋敷の最初から最後まで、友達のシャツの裾をずっと掴んで歩いていた為、そのシャツが最後にはテロンテロンの何とも惨めな格好になってしまったなんて人もいます。

人間、何もお化け屋敷に関わらず、何か不安な気持ちになったり、恐怖に襲われる時にとる行動と言ったら、誰かにしがみついたり、自分の腕や肩を抱きすくめたりします。

もともと赤ちゃんの頃に、最も発達している感覚は、触覚(皮膚感覚)と嗅覚と言われています。
まだ胎児として母親のお腹にいる時は、母親の温もりや心臓の鼓動を全身の皮膚に感じながら10ヶ月の時を過ごす訳ですから、何よりも触覚が発達してくるのは当然と言えます。
ぐずる赤ちゃんをなだめる時には、優しく抱きすくめる事は、肌の温もりの中に赤ちゃんをスッポリと抱き、お腹の環境に少しでも近づけることで赤ちゃんを安心させようとする行為になります。
こうした肌の触れ合い(スキンシップ)は、後の成長にも大きな影響を与えることが最近知られてきました。
幼少の頃のスキンシップ不足がもたらされる影響として、健常な大学生に比べ、心療内科の外来患者(抑鬱や不安感の高い患者)の間では、心療内科に通う患者の方に、幼児期に両親からの身体接触量が少なかったと評価する人が多かったそうです。
山口創・山本晴義・春木豊 [2000][両親から受けた身体接触量と心理的不適応との関連」『健康心理学研究』13.19.28

もともと表皮・皮膚は、人の受精卵が様々な組織・器官に分化していく過程の中では、脳や神経と同じ由来になります。
ですので、皮膚への刺激は、脊髄や脳に直接的に働きかけ、感情、思考、自律神経、ホルモンの分泌におおきな影響を与えることになります。

いわば皮膚は、むき出しの脳とも言える部分でもあり、皮膚への良好な刺激はそのまま身体の持つ恒常性を強固なものとし、生命力の向上にも繋がっていきます。

鍼灸治療は、その長い歴史の中で、皮膚の秘めたる力を経験的に解明し、より理論的、効果的に構築していった結果が、ツボ(経穴)やツボの流れ(経絡)、それに関わる五臓六腑へと昇華していきました。
そして、鍼やお灸のような、皮膚表面への軽い接触によって、身体の変化を導き、人の持つ治癒力、生命力を最大限引き出していこうとする、人が、人の為に、人の身体に即した形で施すことが出来るのが鍼灸治療なのです。

ちなみに冒頭でもお話ししたように、人間は不安を感じると無意識の内に触覚を求めようとします。
例えば、小さな子供が指しゃぶりをしたり、肌触りの良いぬいぐるみを好むように、何かに触れていると言うことで、そこに安心感を見出しているという深層心理が働いているのです。
これは成熟した大人でも、悩み事や憂鬱な気分に陥った時は、ほおづえをついたり、額に手を置いたり、どこかしら身体をさすったり抱きしめたりすることがあります。
このような行為は、無意識で為されている場合が多く、相手の心理状態を把握する上で、精神科医や心理学者などが着目する点でもあります。

東洋医学では、皮毛は肺の主りであり、この肺という蔵府は憂い、悲しみの感情にさらされると、非常に変動が激しくなり、そのような心理的ストレスによって、肺と関連の深い皮膚に影響が及ぶ事からも、上述の事は理に適う現象と言えます。

とてつもない恐怖に遭遇すると、全身の身の毛もよだつと表現しますが、この「よだつ」とは、「益々」とか「いよいよ」という意味を持つ「いや(弥)」が、「いや立つ」→「よだつ」と変化したものです。
心理的な大きな負担が、皮膚を硬直させて細かい産毛までもがすべて立ち上がってしまう様になってしまう状態ですが、1時間近くお化け屋敷を彷徨うとなると、宮沢賢治の『注文の多いレストラン』に出てくる登場人物のように、立ち上がった毛がそのまま戻らなくなりそうですね。

天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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眼精疲労

2009.08.27(14:46) 334

前回のブログは、目にいいとされるブルーベリーの話題でしたので、今回は目にまつわる話にしようかと思います。
最近は、パソコンの普及で一昔前に比べると長時間モニターを見続けるような、非常に目に負担を強いる環境となっています。
そんな中、言われるようになってきたのが「眼精疲労」という症状です。

よく混同されやすいのが、普段感じる「目の疲れ」と「眼精疲労」を同じものとして話されることがあります。

糸井素一・普天間稔著「眼の病気 Q&A」(保健同人社 2001年発行)の中 の「VDTと対策 ●OA機器による眼精疲労の対策は?」によれば

ディスプレー像を長時間、注視することによって、「眼が疲れる」「かすむ」「頭が痛い」などの症状を訴える人が多くなっています。しかし、このような症状が一定の休息をとることによって、比較的短時間に治る場合は、単なる眼の疲労です。
眼精疲労とは、視作業をつづけることにより、眼部、鼻根部、あるいは前額部の不快感、圧迫、頭痛、視力減退、めまい、吐き気などの不定愁訴をおこす状態をいいます。』


と定義されていて、一過性で単純に目の症状に限定されれば、「目の疲れ」と言えますが、「眼精疲労」となると、目の疲れが身体の他部位や精神的にも影響を及ぼし、それが長期的・慢性的に続く場合を言います。

さらには眼精疲労の漢字を「眼疲労」と間違えやすいので、こうした漢字の誤った理解も、目の疲れ=眼精疲労というように連想しやすい一因と言えるかも知れません。

普段、目のことを眼精なんていう風に呼ぶことはないと思いますが、この精というのは東洋医学の用語で、物体としての眼球に対し、精は見る力、機能を保障する動力源のようなものになります。
形としての眼と動力源である精が合わさって、見るという力を発揮することが出来るのです。

東洋医学において、目というのは肝の蔵と最も深い関わりがあります。

黄帝内経の目と肝の関係を表す箇所を引用すると、

東方青色、入通於肝、開竅於目、蔵精於肝。『素問』金匱真言論篇
~東方の青色は、人体に於いては肝に通じ、肝は目と密接な繋がりがあり、目の役割を果たす為の精は肝に蓄えられています。~

肝気通于目。肝和則目能辨五色矣。『霊枢』脈度篇
~肝気は目に通じています。肝が恙無く働いていれば視覚も明瞭となります。~

また肝というのは、東洋医学の生理では「肝蔵血」の役割があり、全身をめぐる血の調整を行っています。
つまりは視力というのは、この肝血によって維持されています。

長時間に及び、目を酷使してしまうとこの肝血を消耗することになり、結果として全身の血を調整する肝にそのダメージが及ぶことになります。
それが、眼精疲労のような全身に数々の症状が飛び火する原因となります。
その逆の場合もあり、肝にもともと弱りを生じた場合も、視力を保障する肝血が上手く行き渡らなくなることで同様に眼精疲労となってしまうこともあります。

また目は五蔵の精華と言われる器官でもあり、肝以外の蔵府の精気の状態も目に反映しています。
魚屋さんが新鮮な魚の見分け方として、目の状態を見る分かると言うように、我々の健康のバロメーターは目で測ることが出来ます。
昔から「目は口ほど物を言う」とありますが、これは身体の具合を見る上でも的を射た諺でと言えます。

天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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反関の脉

2009.08.25(23:48) 332

先日、当院にいらしている方がご主人を連れて来院されました。
開口一番、「私の旦那、脈が無いんですよ。」と仰るので、早速左右手首の脉をとってみると、なるほど本来拍動しているはずの所に脉がありません。
通常、我々鍼灸師が脉を診るといった場合、身体の中でも脈の触れる所は沢山ありますが、まずは手首の橈骨動脈と呼ばれる動脈を診ることになります。
手首の脉診は、手のひら側で親指の付け根から手首に下ろしていくと橈骨茎上突起という骨の出っ張った部分がありますが、まずはそこに中指を当てて、あとは自然に手のひら側に人差し指を、肘側に薬指を当てるようにします。
人によっては身体の大きい人、小さい人、子供、大人と腕の長さは違ってきますので、体つきにあわせて三本の指の間隔を狭めたり、広げたり、場合によっては指一本ずつで見るなどと言うこともあります。
脉診は治療前、治療中、治療の最後まで身体の様子を伺う、欠かせない診断法の一つなので、どなたであっても、どんな症状でもまず脉診は行っています。

冒頭の方も、僕がいつも脉をとっているのを思いだして、家で何気なくご主人の脉を診た所、脉が触れなかったことに驚いて、とりあえず一緒に連れてこられたのだそうです。

最初に脉を診た時には、確かに所定の場所には脈は触れなかったのですが、改めて脉を診る指を手のひら側から少し手のひら側へとずらしてみると、そこにははっきりと脉を触れることができました。
これは、反関の脉(はんかんのみゃく)といって、橈骨動脈が少し手首の背面に寄っているだけなので、特に病気でも何でもありません。

稀にこうした反関の脉をお持ちの方はお見えになりますが、どちらか一方の手ではなく、両方とも反関の脉だったというのは珍しいかも知れませんね。

その事が分かって安心されたのか、「普通に生きているのに、脉が拍っていないから、てっきりゾンビと結婚したのかと思いましたよ~。」なんて笑いながら仰ってました。

それにしてもゾンビ扱いされるご主人もお気の毒様でした・・・・。


天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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無重力の世界

2009.08.24(23:01) 331

先頃、NASAと共同で宇宙ステーション内に日本独自の実験室を設置することに成功しました。
これから、この実験室を使った研究が数多くなされ、いずれ人類が地球という環境を飛び出し、その住処を宇宙に求めるようになる日の大きな礎となるやも知れません。
僕も小さい頃に見ていたガ○ダムのようなアニメに触発されて、未だに宇宙への憧れを強く持ち続けています。

さて、現実に目を向けて、その宇宙空間について考えてみると、宇宙は人が暮らすにはあまりに過酷な環境と言えます。
人にとって必要な空気、水はもちろん無く、有害な放射線や太陽風が降り注ぎ、特殊な防護服などを着用しなければとても宇宙空間で活動するなんて出来ることではありません。
さらにはそこは無重力の世界です。
この無重力の世界でひとしきり生活を送った宇宙飛行士達が、地球に降り立ってまず頭を悩ませるのが、骨の劣化であると言います。
通常1Gの重力が働く地球上では、骨というのは、日夜古い骨組織が溶け出し、新しい骨組織が次から次へと生み出されるという新陳代謝のサイクルによって成り立っています。
しかし、無重力空間においては、骨内のカルシウムやリンが尿中に溶けて排出されてしまったり、骨の溶解に比べ、新しい骨組織の新生が極端に遅くなると言われています。
結果、骨の密度は粗くなり、鍛え上げられた肉体を持つ宇宙飛行士達ですら、骨粗鬆症の状態となり、骨折の危険にさらされると言います。

東洋医学では、骨に関わる生理的な役割を担うのは、五臓六腑の内、腎の主りとされています。
この腎は、身体の一番深い所に位置し、その性質として、人体の気血、精を漏らさぬようしっかりと保ち続けようとする「求心力」をもった蔵であります。
この求心力をそのまま置き換えれば、体内の重力たる役割を演じている訳で、地球の重力はこの腎の求心力に大いに影響を及ぼしていることになります。
つまり無重力の世界では、この腎の持つ求心力の作用が弱まり、骨そのものの組成をも弱めてしまうと考えられます。
ちなみにこの腎は生命の根源を為す、先天の気を収めている蔵でもあるので、更に宇宙空間のような無重力状態で人が暮らしていくならば、人の成長や生殖に関わる部分にも何らかの影響が出てくるのではないだろうかと思うのです。

これから先、無重力空間を克服し、人類が宇宙へと住まう事になるようにするには、この腎の求心力をどのような形で保っていけるかがポイントになるのではないでしょうか。
果たして、僕が生きている間に宇宙に人が暮らせるという時代になるのでしょうか。


天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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リハーサル

2009.07.13(22:25) 319

来る7月26~28日は2年に一度開催される夏の学会があります。
しかも、今年は会発足50周年にあたり、学会期間中50周年の記念式典が催されたりといつにも増して盛大な学会になる事、間違いありません。

国内外問わずたくさんの参加者が東京に集まる事になりそうで、いまからその準備に大あらわです。
運営に携わる先生方は、連日会場との折衝、参加者の取りまとめやスタッフ同士の打ち合わせなど、本来の仕事に加えてのハードスケジュールに文字通り目が回る忙しさかと思います。

ここ最近の日曜日はこうしたリハーサルに充てられ、とうとう先日の日曜日が最後のリハーサルとなりました。
リハーサル


ここにきても、色々な決め事や、確認事項があったりして、何だかやればやるだけ新しく仕事が増えていくような気がしないでも。。。。。。(汗)

とは言え、会を挙げての一大イベントに、まるで学園祭の様なワクワクした気持ちです。


天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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  1. 身の毛もよだつ話(08/29)
  2. 眼精疲労(08/27)
  3. 反関の脉(08/25)
  4. 無重力の世界(08/24)
  5. リハーサル(07/13)
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