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公孫樹(イチョウ)と胃腸

2006.10.23(22:52) 129

霜降も過ぎるとさすがに、日中でも冷えるようになりました。
街で見かける街路樹も少しずつ色づいてくるようになってきましたね。
ところで街路樹というと皆さんはどんな木を想像されますか?
ちなみに僕の住む、この神奈川県横浜市の県木はイチョウの木です。
青々と繁るイチョウの葉も良いですが、やはり黄色に色づいたイチョウ並木は、思わず足を止めて見入ってしまう美しさがあります。
公孫樹



一般にイチョウを漢字で表すと「銀杏」と書くのが一般的かと思います。
銀杏」は“ギンナン”と呼ばれることもあり、よく茶碗蒸し等の具に使われています。
このイチョウの実であるギンナンの語源は、その実の形がアンズに似て、殻が銀白であることから由来しているそうです。
これとは別に、イチョウを「公孫樹」と書くこともあって、こちらの由来は植えてから実がなるまでには、孫の代までかかると言うことからこの名前が付けられているそうです。

僕などは「公孫(こうそん)」と見ると、真っ先にツボの名前を連想してしまいます。
丁度、人間の身体を縦に流れる12本のツボの流れ(経絡)の一つに、足の太陰脾経と呼ばれる流れがあります。
名前の中にある脾という蔵府は、今で言うところの消化器系や造血などに携わるとされていて、人の身体の中心にあたる役割を担っています。
公孫穴」は、そのツボの流れの4番目にあるツボです。
この公孫穴は、さらに他のツボの流れとの連絡していて、治療の上でよく反応が出ていたり、使用する頻度も高いツボの一つであります。
まさしく木のイチョウではないですが、ツボとしての公孫も胃腸つながりなんだなぁ、なんてどうしようもないことを思ってしまう今日この頃です。

ちなみに銀杏(ぎんなん)は、漢方では古来より咳止めや、夜尿症・頻尿等の症状で用いられていました。
最近ではボケ防止効果もあるというような事も言われているようです。
しかし、ギンナンには神経に作用するビタミンB6の作用を妨げるような軽度の毒性物質が含まれているので、極端に食べ過ぎると痙攣を起こすこともあります。
特に、小さいお子様などは、大人ほど解毒能力が発達していないので注意が必要です。
ボケが改善されるからと言って、必死になって食べ過ぎてはいけないようです。
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ツボのお話し~虫が這うような痒み~

2006.03.25(23:38) 82

しばらくツボのお話しが空いてしまいましたが、久しぶりに今日は話題にしてみたいと思います。

先日、海外の方がいらして講習会が大盛況の内に終わり、まだその余波のようなものが抜けない気がしてしまいます。
あちらの方は、日本語が堪能な方はまだまだ少なくて、こちらとのコミュニケーションも専ら通訳の方を介しながら、片言の単語を駆使してと言うような状態でした。
東洋医学は、漢字で表記される事柄が多くて、海外の方が勉強するには相当大変なことと思います。
とくに、ツボの名前を覚えるのも大変な作業であるかと思います。(日本人の僕らでさえ全部覚えるのには相当苦労しました。
そうした中、合理的に学習する為の手段として、ツボを番号で表したりします。
例えば、太陰肺経にある太淵というツボであれば、肺経は英語でLung Meridian、太淵は肺経の中の9番目にあるツボなので、L9=太淵となります。
今や東洋医学が欧米を中心にして、注目されているので、もっとグローバルな医術として、より多くの地域で受け入れやすくする上で、こうしたツボを番号表記にするのも必要かも知れません。
しかし、このツボ番号表記によって、ツボが本来持つ意味を失ってしまってはいけないと思うのです。
ツボの名前には、その名前にツボの位置だとか、ツボの持つ効果、生理・解剖などが意図されて命名されています。

足の厥陰肝経に蠡溝(れいこう)穴というツボがあります。
蠡溝の蠡の字は、虫が木の中にあって木を喰っている様を表す漢字です。
そして、溝は丁度このツボの位置するところが小さな溝(窪み)の様になっています。
足の厥陰肝経の流れは、足の親指から始まって下肢の内側を上っていき、そして下腹部では生殖器をめぐっています。
この生殖器(デリケートゾーン)に痒みがでる時、あたかもそれは木の中で虫がムズムズと這うような痒みをきたすものであります。
その時に、この蠡溝穴に著明な反応が出たり、更にそう言った症状の治療の際に用いたりするのです。
つまりツボの名前を見るだけで、そこに診察点、治療点としての示唆が込められています。
臨床の際、こうしたツボの名前の由来に従って、診断・治療をしてみると、いつも古代の人の観察眼と知恵に恐れ入ってしまいます。
これを番号表記にすると、肝経はLiver Meridian、蠡溝は肝経の5番目にあるツボなのでLiv5となります。
ただのLiv5では、このツボの持つ特性などを伺うことも出来ず、それこそただの位置のみを表す記号となってしまいます。
やはり、ツボの名前に込められた先人達のメッセージを、合理的にツボの位置を覚える為とは言え、無駄にしてはいけないのではないかなあと思ってしまいます。

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ツボの由来~始まりと終わり~

2005.09.01(00:49) 8

9月になりました。
季節もぐっと秋めいてきて、最近は日の入りもずいぶん早く感じる様になりましたね。
そんなわけで、このブログの背景もちょっと衣替えです。

今日は経絡の始まりと終わりについてお話しさせて頂きます。
12本の経絡は、バラバラに気が流れているのではなく、ちゃんとスタート地点とゴール地点があると考えられています。
我々がこの経絡の勉強をする際には、必ず覚える順番があります。
それはつまり、その順番通りに気の巡りがあるという考えがあるからです。
各12本の経絡には、それぞれに関連の深い臓腑がその道筋の名称となっています。
順番に挙げていきますと、肺、大腸、胃、脾、心、小腸、膀胱、腎、心包、三焦、胆、肝となっています。
肺経の最初のツボは“中府”と言い、その次に来るのが“雲門”というツボです。
そして肝経の最後のツボの名前は“期門”と言います。
先ず肺経の最初に来るツボは中府と言いますが、ツボの由来のお話しをする上で、今回は雲門穴についてご紹介しようと思います。
雲門穴ですが、先ず人体の気があたかも雲の様に上昇して立ち上がっていく、その最初の門と言うことで、色々諸説はありますが、気血のスタート地点としての意味があります。
そして、最後の期門穴に来てゴールとなるわけです。
“期”という漢字は“其”“月”が組み合わさって出来ています。
まず“其”という字の元となっているのは、モミなどをふるい分ける四角いざるであったと考えられています。
つまり“四角”という意味の含みがあり、これに時間的要因を表す月という字が付くと、春夏秋冬の四つの季節が正確に移り行き、そして最初に戻るというよう働きを表します。
そのことからこの期門穴というのも、人体を気血が正確に巡回し、再び最初に戻ると言うこ気血の生理が、この期門穴の名称となったと考えられています。
季節がめぐる様に、また朝がきて昼がきて夜が来て、そして再び朝を迎えると言う様な循環する自然の摂理を、人間にも置き換えて考えています。
この辺りのお話しも、とても面白いので、いずれの機会にご紹介したいと思います。

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ツボの由来~今日は焼き肉の日~

2005.08.31(22:21) 7

色々なツボがある中で、印象に残りにくいツボ、残りやすいツボがあります。
その中で、覚えやすかったツボに“滑肉門穴”と言うものがあります。
まるで“滑肉門“なんて言うと、どこかの焼き肉屋さんにありそうな名前ですよね。
実際、母校の学園祭でもこの名前でお店を出して、牛スジ丼を販売していたクラブがありましたが、味もなかなかの絶品ですぐに完売になっていたようです。

さてこの“滑肉門“は陽明胃経という経絡にあるツボです。
経絡の名前の中に“胃”という名称が見られる様に、胃の腑に繋がっている経絡です。
位置している場所はお腹で、おヘソの上指一本分くらいの高さで、更に指二本くらい横の所にあります。
滑肉門には舌が強張ったりした時などに、その動きを滑らかにしたりするようなときに使うことがあり、その事からこの名前が付いたとも言われています。

しかし僕の場合ですと、このツボを見るといつも焼き肉屋さんを想像して、「気分は焼き肉!」という気持ちになってしまうので、特にはり灸をしなくても舌の動きが滑らかになってくるようです。

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ツボの由来~頭が痛い!~

2005.08.29(23:22) 6

よく「ツボの数ってどれくらいあるんですか?」と言う質問をされることがあります。
我々が学校の授業で習ったりとか、使用している教科書に載っているツボの数は、全部で361穴あります。
これらのツボというのは、それぞれ身体を縦に走る経絡という道筋があって、その道筋にあるツボの数が361穴と言うことなので、更にこの経絡の道筋に属していないものを数えるとその数は更に倍以上増えることになります。
しかし、何にも置いて、この経絡上にあるツボを把握することが最も重要でありますので、学校ではこれらのツボとその道筋(経絡)をまずはみっちりと覚えることになります。
授業ですから、当然決められた授業時間が設けてあります。
ですからツボを覚えるにしても、割合最初に勉強するツボの流れというのはある程度覚えやすく、やがて後半の方に差し掛かると、テストが近づくことに対しての焦りや覚える内容が多くなる事による面倒臭さが手伝って、おざなりになりやすいものなんです。
学ぶ際には、各経絡毎にツボを覚えていきますので、その経絡の中にあるツボが9穴のものもあれば、一番多いもので67穴覚えなくてはならない経絡もあります。
皮肉なことに、授業の後半なる方にツボの数の多い経絡が割合多いのです。
その中でも少陽胆経というツボの流れは、最後から二番目に覚える経絡で、そのツボの数が44穴もあり、更にその流れる道筋にしても側頭部を複雑に流れる経絡の流れなので、覚えるのに苦労してしまいます。
その経絡の中に懸釐(けんり)と言うツボがあります。
このツボは額の生え際の一番端の部分で、丁度生え際が角になっている部分から僅かに下がった所にあるツボです。
名前を見ただけで、アレルギーが出そうな難しい漢字が並び、場所も髪の毛の中で分かりづらいツボの一つですが、このツボも漢字の意味を知っていると非常に納得する由来があります。
先ず“懸”ですが、県というのは首という字が逆さまになったもの。
そして系はその首をつるした糸で、あまり気持ちのいい話ではないですが、さらし首、特に吊された首を表すものなんです。
漢字の意味としては掲げるとか吊すという意味になります。
そして“釐”という字ですが、上にある末は畑を耕す道具の鍬(すき)をそして右側の攵は手でもって動作をすることを表し、厂は手を表しています。
そして里は整地された田畑の意味になりますので、それらの文字が一つの漢字として成り立つと、家や田を耕すなりして整備をし、村や町を治めるのが幸福になる為の条件であるという考えから、治めるとか幸福というような意味を持っています。
つまりこの懸釐というツボは頭の横にあって、あたかもつり下げられた位置にあり、更に頭痛などの際にこのツボを使ってその痛みが緩和して楽になった(痛みが治まる、痛みが止まれば幸せ)という経験からこの名前が付いたと考えられます。
経験的に、偏頭痛に悩まされる時に、自然とこめかみ辺りにを手やって、抑えたり揉んだりすると思います。
そうやって生み出されたツボがこの「懸釐穴」です。
それにしても、いつの時代も頭痛に悩まされる様なことがあったんですね。

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ツボのお話し
  1. 公孫樹(イチョウ)と胃腸(10/23)
  2. ツボのお話し~虫が這うような痒み~(03/25)
  3. ツボの由来~始まりと終わり~(09/01)
  4. ツボの由来~今日は焼き肉の日~(08/31)
  5. ツボの由来~頭が痛い!~(08/29)
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