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さしもぐさ

2007.04.14(00:32) 166

「かくとだに えはやいふきの さしも草 さしもしらじな 燃ゆる思を」 藤原実方朝臣
こんなにも貴方のことを思い、さながら伊吹山の指燃草の艾の火のように、燃えさかるこの気持ちはきっと貴方には伝わらないのでしょうね。

先日、新しくモグサを購入しました。
もぐさ

いつも箱一杯に敷きつめられたモグサを見ると、この上にシーツを被せて眠れたら気持ちいいだろうなぁ、なんて事を考えてしまいます。

さて、このモグサですが、その原料は言わずと知れた蓬(ヨモギ)になります。
お灸の起源は、中国の北方(寒い地域)が発祥と言われています。
これらの地域は高原地帯で、この地域に住む者は乳製品を主に摂っており、外界の冷気や食べ物による内蔵の冷えに悩まされることが多く、必然的にお灸で身体の冷えを取り除くと言った治療が功を奏したと考えられます。
その歴史を遡ると三千年前からあったとされ、日本には大和時代、大陸の様々な知識、仏教などと一緒に伝来しました。
かの弘法大師(空海)が、お灸を持ち帰ったとも言われ、その名残で今でも「弘法の灸」と言うように呼ぶところもあるようです。

冒頭の百人一首では、すでにモグサが題材になっていることからも、平安時代の頃には、こうした貴族の間でもお灸が治療法として受け入れられていたのかも知れません。
“いふきのさしもぐさ”とありますが、このいふきは滋賀県(米原市)にある伊吹山のことを指しています。
伊吹山は滋賀県における最高峰の山で、ヨモギだけでなく、多種にわたる薬草が自生していて、かの織田信長がこの地に薬草園を開いていたと言う記述もあります。
今なお、伊吹もぐさというと、もぐさのいわばブランド品で、現在日本で出回っているもぐさのほとんどは中国が産地のものです。
ヨモギの性質に大きな違いはありませんが、中国産のもぐさは安価な分、精製が粗く、火をつけるとヨモギの匂いや、煙が多いのが難点です。
一日にお灸を何度もしていると、本人は気づかないうちにもぐさの臭いが身体に染みついているようです。
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天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


2007年04月14日
  1. さしもぐさ(04/14)