出産の時は、赤ちゃんは頭から出てきます。これは、お産を経験の方なら当然の如く、また物心つく頃になれば誰しも疑うことのない事実として承知していることかと思います。
この事は、僕達が日常よく使う漢字の中にも見て取ることができます。
例えば、「子供を育てる」と言いますが、この「
育」という漢字の肉月の上に載っているつくりは「子」と言う字が逆さま

になった状態を、さらに

というような形に変化させたものです。
この字からも見て分かるように、人間がこの地球上に存在してから今に至るまで、赤ちゃんが頭を下にした状態で生まれると言うのは、まさしく自然界の法則と言えるかも知れません。
同じように、この子供が逆さまになった字が使われている漢字に「
流」という字がありますが、これも出産時、赤ちゃんと一緒に母胎内の羊水が流れ出る様を川と言う字を下にあてがうことで表現しているのです。
しかし、時としてこの自然界の法則が狂うことがあります。
つまりそれは胎児の頭が下に向かず、出産時に胎児が足から出ざるを得ない場合です。
これを
逆子と言って、妊娠8ヶ月以降に母胎内の胎児がこの状態であれば、何らかの処置によって胎児の頭の位置を矯正する必要があります。
しかし、様々な処置を施しても矯正できなかった場合、現在の産婦人科領域においては
帝王切開と言って直接母体のお腹を開いて、胎児を取り出すと言ったことが為されています。
そもそも、こうした
逆子という現象が起こること自体、本来あるべき状態から逸脱している訳で、それには子宮の形及び筋腫、胎盤の状態、羊水の量、臍の緒が胎児に絡みついている等、様々な要因が挙げられます。
これに対して東洋医学では、母親の下半身に冷えが滞っていたり、苗床となるべき子宮やその近隣の蔵府に気が不足してしまったが故に、胎児が下向きになれないのだと考えています。
つまりは、もともと母親の体の方に、そうした歪みが生じていたことが、結果的に
逆子の状態をきたしてしまった事になる訳です。
仮に
逆子が矯正されず、やむを得ず
帝王切開で出産されたとしても、母親に内在している歪みはそのまま残ったままなので、後々になって腰痛をきたしたり、膀胱炎になりやすかったり、もしくは筋腫などに罹りやすいなどの様々な問題を抱える可能性もあります。
出産にあたっては、もちろん自然分娩で出産できるにこしたことはありませんが、むしろ
逆子という状態によって、お腹の中の赤ちゃんがお母さんが自分でも気づかない体の歪みを教えてくれていると考えられなくもありません。
こうした
逆子の矯正には、鍼灸治療によって改善されるケースが非常に多いです。
実際の治療としては、足の小指にある「
至陰(しいん)」というツボに、ほんのゴマ粒ほどの大きさのお灸をします。
至陰穴にお灸をすえているところ早い人であれば、それだけでお腹の中の赤ちゃんがクルッと回ってしまうこともあります。
さらに子宮の緊張を弛め、骨盤腔内の循環を高める為に、足の内脛にある「
三陰交」というツボにもお灸を用いることがあります。
治療の目安としては、一週間に2回くらいの割合で一ヶ月程度、6〜8回位を目処に通われることをお勧めします。
また、ご自宅でも上に挙げたツボにお灸をされるとより効果的です。
これらの処置を行うと
逆子の治療だけでなく、安産や産後の肥立ちを良くする為の予防的なアプローチになります。
出産という人生における大仕事を万全の体で臨み、母子共にまずは健康であることが何よりも一番です。