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蚊虻の止まるが如く

2008.06.04(22:00) 193

今年になって、はじめて蚊に刺されました。
蚊に刺され

これから、梅雨に入り蒸し暑くなってくると、蚊の飛び交う季節になりますね。

蚊が元気になるのは、気温などを超えたころ?

記事によると、血を吸うのは後尾を終えた雌の蚊なんだそうです。

「蚊は卵から1~2日で孵化し、6~8日で蛹化、さらに2~3日で羽化します。成虫の寿命は1~2カ月になります。ちなみに、血を吸うのは交尾後のメスのみです。卵を産まないメスは、オスと同じように、花や果物など植物の汁を吸って生活するんですよ」

うだるような熱帯夜。
ただでさえ眠れないのに、耳元で蚊の「ブ~ン」と言う羽音を聞くと、気になって眠るどころではありませんよね。
普段は、自他共に認める寝つきの良い僕でも、ある夏の晩に夜通し蚊の襲来に泣かされ、耳元で蚊の羽音が聞こえるたびに電気をつけては蚊を探し、10匹ほど退治したところで力尽きて眠った頃は、もうすでに朝日が昇りはじめる頃と言うことがありました。

そんな事で蚊にはいつも煮え湯を飲まされてばかりいますが、鍼灸師となった現在、そんな蚊から学ぶこともあります。
蚊が血を吸うときは、人に気づかれないように皮膚にとまり、そのくちばしたるハリを突き立てるわけです。
刺されている我々は、その事に気づかず、後になって痒みが襲ってくることで、初めて蚊に喰われた!と分かるわけです。

その事から、昔の鍼灸治療家は、その鍼灸の教典『黄帝内経霊枢』九鍼十二原篇の中でこのように鍼の極意を謳っております。

《補曰、随之。随之意若妄之。若行若按、如蚊虻止、如留如還。去如絃絶、令左属右、其気故止、外門已閉、中気乃実、必無留血。》

《補に曰く、これに随う。これに随うの意は、妄(みだ)りに行くが如し、行くが若(ごと)く按ずるが若く、蚊虻の止まるが如く、留まるが若く還るが如く、去ること絃絶の如し。左をして右に属せしむ。其の気故に止まる。外門已に閉じて、中気乃ち実す、必ず留血無からん。》

という条文があり、我々鍼灸師は、この文を暗記して、鍼をする時は、常にこの内容を意識して治療にあたっています。
その中で、「蚊虻(ぶんぼう)の止まるが如く」とあるように、鍼を刺すにあたって、蚊や虻が止まっている事に気づかないように、鍼を刺したことが相手に分からないように行わなければならないと言っているのであります。
一本一本の鍼がチクリチクリと痛く感じれば、それだけ鍼を受けている人は、不快な気持になり、鍼に対して恐怖心が出るだけでなく、充分な治療効果をあげることができません。

何かと、癪に触ることが多い蚊ではありますが、鍼を刺す名人という点に於いてはなかなか侮れない存在であります。
しかし、刺したところが痒くなるという置き土産が余計なんですよね~。

ちなみに蚊やダニなどの虫さされの痒みには、モグサを糸くずのように細く捻った糸状灸というものを痒みの中心に据えると、腫れがスッと引き、痒みも治まってしまいます。

その際、モグサが糸くずサイズより大きくなると火傷することもあるので、ご自分で試みようとされる方はご注意を!
糸状灸

鍼だけじゃなく、お灸もまた奥が深いものです。
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天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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