タイトル画像

魔女の一撃(上)~腰痛~

2008.06.28(19:03) 207

冒頭から穏やかでない題名ですが、急性腰痛、俗に言う「ギックリ腰」の事を欧米では「魔女の一撃」という表現をします。
今週に入って、この魔女の一撃に見舞われた方の来院や往診の依頼が相次ぎ、腰痛の方に接する機会が何時になくたくさんありました。
このギックリ腰、「魔女の一撃」と言うだけあって、ひとたびこの災難に見舞われると大の大人でも涙をにじます程の激烈な痛みに苦しみ、腰を動かすことが出来ません。
ひどい人では、寝返りも出来ず3日3晩寝たきりの状態を強いられてしまうなどと言う事態に陥ります。
また、少し楽になってきたかなと、無理して動くと、更に腰痛を悪化させたり、これをきっかけにして腰痛が持病になってしまったなどと言うことも多く見られます。

ギックリ腰のきっかけは、何か重い物を持ったり、強い衝撃を受けるなどして腰に相当な負担をかけたときに起こると思いがちですが、実際に患者さんにお話を伺ってみると、
◆顔を洗おうと洗面台に向かって、腰をかがめようとした時
◆歯を磨いていて、口をゆすいではき出そうとした時
◆掃除機をかけている時
◆野球の素振りやゴルフのスイングをした時
◆クシャミや咳をした時
◆買い物袋を持とうとした時
◆車の運転をしている時、もしくは車から降りようとした時
etc...... 
と言った具合に日常生活の些細な動作によって突然生じる場合がほとんどです。
よく、腰痛を予防するに、重い物を持つ時は腰に負担をかけないよう膝を曲げて持ちましょうなんて事を言ったりしますが、こういった事はもう腰痛がある人にとっては多少の意味があるかも知れませんが、大抵の腰痛は心構えのない何気ない所作によって起こりますので、予防等は難しいかと思います。

これらの通称ギックリ腰を来す原因としてまずあげられるのが、筋・筋膜性の腰痛で、腰を構成する筋肉や筋膜、腱などの軟部組織と言われる部分に加わった負荷によって生じた炎症で、これは足首や手首などに起こる捻挫と思えば分かりやすいかと思います。
足首・手首のような捻挫が腰に起これば、腰を構成する軟部組織は身体の大部分を占めており、様々な身体の動きの土台となる部分なので、当然全身を貫くような激烈な痛みに加え、体幹の動きが著しく制限されてしまいます。
また他の原因として、腰骨と腰骨の間にクッションの役割となる椎間板と言う組織があり、この椎間板の真ん中にはゼリー状の髄核と呼ばれるものが存在しています。
この髄核が中心部分から飛び出して、腰骨を縦に走る神経を圧迫する事によって腰痛が起こるようになります。
腰痛に関連してヘルニアと言う言葉を耳にしますが、ヘルニアというのは、突出という意味があり、これはこの髄核が飛び出したという状態を指すもので、これを腰部椎間板ヘルニアと言います。
場合によって、この腰部椎間板ヘルニアは坐骨神経痛を伴い、太ももの裏の突っ張り感、痺れ感、ひどい時には足先に及ぶまでチリチリとした痛みを感じることがあります。
さらには、加齢によって腰骨が変形してくると、変形した骨が丁度棘のように張り出し、ヘルニアと同様に走行する神経を圧迫することで腰痛を来すようになります。
老人の場合は、骨が脆くなり、自らの上半身の重みなどから腰骨の圧迫骨折を起こし、それが原因となる腰痛が出ることもあります。
このようにギックリ腰と言っても、筋肉が由来のものから、椎間板、骨に由来するものなど様々な原因があります。
症状は、ある日突然起こるものですが、その裏には常日頃からその原因となるべき要素が積み重なり、ちょっとした事をきっかけにそれが噴出したに過ぎません。
ギックリ腰はいわば、無理な負担をかけてきた結果、身体があげる悲鳴のようなものです。

魔女に目をつけられないよう、まずは日頃の身体のケアこそが大切です。
「未だ病とならざるを治す」こそが鍼灸の本来の姿ですので、将来こうした身体に起こりえる症状の土台となりえる部分を、治療により見直し、整えることでそれらリスクを軽減させていきます。
身体の不調を、季節のせい、年のせい、仕事のせいだけで納得するのではなく、是非とも、もう一度お体の状態を顧みて頂き、本来の健康体へと改善させるきっかけとして鍼灸治療に足を運んでもらえればと思います。
スポンサーサイト


天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


<<世界一の朝食 | ホームへ | 花開富貴>>
コメント
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://keijyudou.blog20.fc2.com/tb.php/207-ae32d549
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)