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夢について

2009.05.15(22:51) 299

皆さん、夢ってご覧になりますか?
ここで言う夢は、「将来の夢」とか「夢に向かって一直線」の夢とは違います。
いわゆる眠った時に見る夢です。

患者さんとの問診の中で、睡眠の状態についてお聞きすると、切々と昨夜見た夢の内容について話を伺うことがあります。

洋の東西を問わず、人間は見た夢の内容に興味を抱き、夢に対する様々な分析を試みたりしています。
かの精神科医で心理学者のユングは、夢は有意識化では抑えられていた無意識が発現したものと定義づけ、臨床の場においては夢分析を行って、患者の深層心理を解き明かす手段としても重視していました。
巷でも夢占いや、夢診断など、夢に何らかの意味を見出して、自分の心の内や運勢などを明らかにしたいというのは誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
僕の知っているところでは、初夢は一富士、二鷹、三なすびが出てくると縁起がよいとか、蛇を踏む夢を見るとお金持ちになるなんて言うのを聞いたことがあります。

なかなか、そんな夢を見たことも、見たという人の話も聞いたことがありません。

治療の際の問診では、「夢の中で追いかけられて、目が覚めた時にたっぷりと寝汗をかいていた。」、「嫌な夢を見てしまい、朝の爽やかな目覚めを邪魔された。」、「夢の中でもずっと仕事をしていた。」と言う話をよく耳にします。
大体こうした夢のお話をされる方は、私生活で気になることがあったり、仕事が忙しくてストレスを感じていたり、身体の疲れがなかなか抜けない等といった様な、自らの身体にマイナスの要因が働いている事が多いようです。

そもそも「夢」と言う漢字の字源が萈(かん)夕(せき)と言う字が合わさって出来ており、これは巫女が呪いをかけることによって、睡眠中に心をかき乱され、それが夢という現象とされていたのです。
夢の夕の代わりに死を当てはめると薨(こう)という文字になり、これは悪夢にうなされて死んでしまったということを表し、古代の中国社会で夢というのはとても不吉な意味合いを持っていました。

ではそれより少し後に発達していった中国医学の分野では、夢をどのように考えていたのでしょうか?

お馴染みの黄帝内経霊枢には、淫邪発夢篇第四十三という章がありまして、ここでは夢を見る病理や夢の内容に対しての診断などが記載されていて、まじないや呪いによって生じるとされていた夢を、科学的な見地から捉えるようになっています。

陰気盛、則夢渉大水而恐懼。
陰気が盛んだと、大水を渡ろうとして恐れおののく夢を見ます。

陽気盛、則夢大火而燔焫。
陽気が盛んだと、大火事に見舞われ、焼かれる夢を見ます。

陰陽倶盛、則夢相殺。

陰気、陽気が共に盛んだと、互いに殺し合う夢を見ます。

上盛則夢飛、下盛則夢墜。
身体の上半身に気が盛んだと空を飛ぶ夢を見、下半身が盛んだと落下する夢を見ます。

甚饑則夢取、甚飽則夢予。
お腹が空いている時には、物を奪い取る夢を見、満腹の時だと人に物をあげる夢を見ます。

肝気盛、則夢怒。
肝気が盛んだと、怒る夢を見ます。

肺気盛、則夢恐懼、哭泣、飛揚。
肺気が盛んだと、恐れおののいて、泣きわめき、ふわ~っと浮き上がるような夢を見ます。

心気盛、則夢善笑、恐畏。
心気が盛んだとよく笑ったり、怖くて身をすくめるような夢を見ます。

脾気盛、則夢歌楽、身体重不挙。

脾気が盛んだと、楽しく歌を唄っている夢や、身体が重くて身動きが取れないような夢を見ます

腎気盛、則夢腰脊両解不属。
腎気が盛んだと、腰と背中が離ればなれになるような夢を見ます。

厥気客于心、則夢見丘山煙火。

心に邪気が侵入すると、丘の上が燃えて煙があがるのを夢で見ます。

客于肺、則夢飛揚、見金鉄之奇物。

肺に邪気が侵入すると、ふわ~と中に浮く夢を見たり、金属製の奇怪な代物が夢に出てきます。

客于肝、則夢山林樹木。

肝に邪気が侵入すると、山林の中の樹木の夢を見ます。

客于脾、則夢見丘陵大沢、壊屋風雨。
火に邪気が侵入すると、広大な丘を流れる豊かな沢や風雨に曝され壊れた家などを夢に見ます。

客于腎、則夢臨淵、没居水中。
腎に邪気が侵入すると、深い沢に佇んで至り、水に浸かっている夢を見ます。

客于膀胱、則夢遊行。
膀胱に邪気が侵入すると、旅する夢を見ます。

客于胃、則夢飲食。
胃に邪が侵入すると、飲食する夢を見ます。

客于大腸、則夢田野。
大腸に邪が侵入すると、田野が夢に出てきます。

客于小腸、則夢聚邑衝衢。
小腸に邪が侵入すると、賑やかな街の雑踏が夢に出てきます。

客于胆、則夢闘訟自刳。
胆に邪が侵入すると、人と争い事になり、自らを傷つけるような夢を見ます。

客于陰器、則夢接内。
性器に邪が侵入すると、性交する夢を見ます。

客于項、則夢斬首。
項に邪が侵入すると、首を切られる夢を見ます。

客于脛、則夢行走而不能前、及居深地窌苑中。
脛に邪が侵入すると、前に進もうにも進めず、さらに深い穴の中に閉じこめられてしまったような夢を見ます。

客于股肱、則夢礼節拝起。
手足に邪が侵入すると、お祈りしたり、立ち上がったりする夢を見ます。

客于胞䐈、則夢溲便。
膀胱や直腸に邪が侵入すると、大小便をする夢を見ます。

と、まあ現代の夢診断さながらの分析がされているのですが、如何せん、この黄帝内経が編纂された時代と現代とでは、人間を取り巻く環境の変化が著しく異なっているので、これらの内容は当てにならないとは言いませんが、参考程度に留めておいた方が良さそうです。
実際臨床で、患者さんから伺った夢の内容と身体の状態を照らし合わせてみても、なかなかそれらが結びつかないことが多いので、最近では時間が勿体ないので、それほど深く夢の内容を突き詰めたりはしていません。

むしろ夢の内容より、毎晩夢を見てしまうような状態にある方は、眠りの質を悪くしている身体の要因があるのではないかと言う観点から診断を行っています。


ちなみに、僕はもの凄い熟睡型らしく、普段からめったに夢を見ることがありませんが、最近見た夢と言ったら、隅田川を手こぎボートで遡上して浅草の雷門に行く夢でした・・・。
これは一体何だったのでしょうか
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天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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コメント
中国の知恵は・・・

ツボと言い、夢と言い・・

すごいですね。

【2009/05/15 22:59】 | ゆたか #- | [edit]
東洋医学に携わる僕も先人達の智恵に日々感嘆してしまいます。
【2009/05/16 12:10】 | 青峰 #- | [edit]
こんにちは。
今日は、風邪から復活した娘と、
ブログ見させていただきました。
横で邪魔されてます(><)
また遊びに来ます!
【2009/05/23 12:43】 | ★KEEP BLUE★ #- | [edit]
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