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ヒゲのお話

2009.07.02(16:27) 309

何となしにインターネットニュースを流し読みしていましたら、こんな記事を見つけました。

今年の「世界ヒゲ選手権」は米国人男性が制覇、強豪ドイツの牙城崩す。
ここまで髭を伸ばすのは大変だったでしょうね。


昔、海外ドラマで『名探偵ポワロ』という番組が放送されていたことがあります。
僕はこのポワロシリーズが大好きで、主役のエルキュール・ポワロが、「ヘイスティングス!この灰色の脳細胞が~」とお決まりの台詞を決め、難事件を次々と解決していく様を、小学生だった僕はテレビにかじりつくようにして見ていました。
このエルキュール・ポワロ役のデビッド・スーシェが、劇中、クルンと巻いた口髭を撫でる所が本当に印象的で、ポワロという個性を語る上で、欠かせない象徴だったように思います。
一度、偶然にもこのデビット・スーシェの口髭のない状態を目にしてしまった時、「ポワロじゃな~い!」と酷くショックを受けたものでした。
周りでも髭を生やしている人が、ある日突然その髭をそり落としたりしていると、まるで人が変わってしまったように感じてしまう事ってありませんか?
髭はある意味、その人の個性そのものと言えるかもしれません。

しかしヒゲには無精髭などと言うように、のばし放題の手入れされていない髭は概ね女性陣に敬遠されやすいというイメージもあります。
逆にサラッと伸ばした髭に男らしさを感じると言う方もいたりして、人それぞれ感性の違いによって好みに差はあるかとは思いますが、悲しいかな、元の顔立ちの良い人は無精髭でも格好良く見えるのに、一方ではお洒落で生やしているつもりでも周りの人の不興を買ってしまうなんて人もいるかと思います。
自分の器量を秤にかけて考えてみると、伸ばしてみたいと思っても、そこはなかなか難しい問題です。

そんな僕も一時髭に憧れて、学生時代に少しだけ延ばしてみた事があります。
とは言っても、小心者の僕は、学校のない夏休みを利用してこっそり伸ばしていたのですが、丁度お盆の頃に帰省して家族の前に伸ばした髭を披露した際、母親や妹たちには「何だかカビみたい。」と散々酷評され、結局学校が始まる前に綺麗さっぱりと剃ってしまいました。

さてそんなトラウマのある髭についてのお話ですが、一口に“ヒゲ”と言っても伸ばす場所によってちょっとずつ漢字表記が違います。

一般に鼻の下と唇の間に生える毛を口ひげと言って漢字ではとなります。
それに対して頬に生えるヒゲは、顎に生えるヒゲならが当てはまります。
変わったのでは馬などのたてがみを表すもヒゲと読むそうです。

先ほど髭はその人の個性そのものだというお話をしましたが、東洋医学的にも髭と言うのはその人の持つ器量が滲み出るものとして、見た目にも美しい髭というのが大変尊ばれました。
三国志に出てくる豪傑達や項羽、劉邦、はたまた孔子、古代中国の歴史に名を残した偉人達の顔を見ると皆一様に本当に立派な髭を生やしています。
面相学においては、髭の生え方などで、この者は勇者の資質、王者の資質を兼ね備えた髭であると占う事もあるくらいです。
東洋医学で考える髭の生理ですが、これも黄帝内経霊枢の五味五音篇と言う所に記述があります。

黄帝曰、婦人無鬚者、無血気乎。
岐伯曰、衝脉、任脉、皆起於胞中、上循背裏、為経絡之海。其浮而外者、循腹右上行、会於咽喉、別而絡唇口。血気盛則充膚熱肉、血独盛則澹滲皮膚、生亳毛。今婦人之生、有余於気、不足於血、以其数脱血也。衝任之脉、不栄口唇、故鬚不生焉。
黄帝曰、士人有傷於陰、陰気絶而不起、陰不用、然其鬚不去。其故何也。宦官独去何也。願聞其故。
岐伯曰、宦官去其宗筋、傷其衝脉、血写不復、皮膚内結、唇口不栄。故鬚不生。
黄帝曰、其有天宦者、未嘗被傷、不脱於血、然其鬚不生。其故何也。
岐伯曰、此天之所不足也、其任衝不盛、宗筋不成、有気無血、唇口不栄。故鬚不生。


とありまして、要約すると人間の身体には正中腺に走る任脉と衝脉と言う経絡があります。
これらの経絡は非常に血に富んだ経絡と言われていて、その始まりは生殖器から上に昇り、顔面部に於いては顎や口の周りを囲むようにして巡っています。
髭はこの任・衝脉の血を養分として生えるのですが、女性で髭が生えないのは、生理によって一度に大量の血を放出する事になってしまうので、こうした髭の成長に回す分の血が無い為と言っています。
面白いのが、ここに宦官の人が髭が薄いのはどうしてか?という質問がされています。
宦官というのは、昔の中国では宮廷で仕事をする男性は去勢をしなければならず、そうした役職にある人を宦官(かんがん)と言いました。
宦官が髭が薄いのは生殖器を失ったために衝・任脉中の血が巡らずに髭が生えづらくなると言う理由からだそうです。

こういった事を応用して、逆に女性でも口唇周りに産毛が密集しているような方であれば、生理時の経血が上手く排出されず任・衝脉上に血が停滞が生じることによって、全身にもそう言った血が滞りやすいと言った体質が疑われます。

美しい髭が重視されたのも、髭がこうした血の充実度、巡りの度合いを反映していると考えられたからと言えます。

すると、身内にカビのようだと評された僕の髭の立つ瀬がありませんね。トホホ....
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