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痛みについて

2010.06.04(22:33) 357

もう一昔前の話になりますが、「痛みの基準が鼻毛を抜いた痛みで表現できる様になった!」なんてジョークが流行った事がありました。
当時、鍼灸学校の研修生だった僕も、同期の友人や後輩にこんなジョークメールを送ったものです。

痛みの基準はハナゲ
国際標準化機構(ISO)によって、人間の痛みの感じ方についての統一単位「ハナゲ」(hanage)が制定され、「長さ1センチの鼻毛を鉛直方向に1ニュートンの力で引っ張り、抜いたときに感じる痛み」が「1ハナゲ」と定義された、とするものである。鼻毛を抜いた時の痛みには性差や個人差はないことが発見されたため、ハナゲが痛みの単位に選ばれたとされる。



と、まあこれは冗談ですが、本来痛みと言うのは、人によって感じ方には個人差がある為、その人に生じている痛みを数値化して計ると言うのはとても難しい事です。
また一言で「痛み」と一括りにしてみても、その痛みには色々な痛みもあります。
ぎっくり腰の際に感じる様な痛み、転んで体をぶつけた時に感じる様な痛み、内蔵からくる様な痛み、しびれを伴う様な痛み、頭痛、肩凝り痛etc....
痛みそのものに種類があって、それに応じて痛みの原因も様々ありますが、実は、痛みの原因としてはっきりと解明できるものの方が少ないのです。

東洋医学では、痛みの原因を気血の滞りと定義づけています。
本来休む事無く体を巡る気血が、気候変化の影響や、精神的なストレス、外傷等によって一カ所、あるいはそこかしこに固定化された場合に痛みを感じる様になるのです。

そういった生理は、体質的に痛みを感じやすいか、そうでないかを見極める場合にも言える事で、
黄帝内経霊枢の論勇篇の中にも、痛みの感受性を見極める為の指南が為されている条文があります。

夫人之忍痛與不忍痛者.非勇怯之分也.
夫勇士之不忍痛者.見難則前.見痛則止.
夫怯士之忍痛者.聞難則恐.遇痛不動.
夫勇士之忍痛者.見難不恐.遇痛不動.
夫怯士之不忍痛者.見難與痛.目轉面盻.恐不能言.失氣驚.顏色變化.乍死乍生.
夫忍痛與不忍痛者.皮膚之薄厚.肌肉之堅脆緩急之分也.非勇怯之謂也.



痛みに強いか弱いかを見る場合、性格的な勇敢、臆病と言う事がそのまま当てはまる訳ではないのです。
勇敢な人であっても、痛みには弱いと言う人であれば、困難に向かって立ち向かっていくが、痛みを感じれば尻込みしてしまいます。
臆病な人であっても、痛みには強いと言う人であれば、困難に出くわすと慌てふためいてしまうが、痛みには耐える事ができます。
勇敢な人で、痛みにも強いと言う人であれば、困難にも恐れず、痛みにも逃げ出す事はありません。
臆病な人で、痛みにも弱いと言う人であれば、困難や痛みに対しては恐れのあまり頭がくらくらして目が眩み、恐れおののいて言葉も出ず、驚きのあまり気を失ったり、顔面蒼白となり、生きているか死んでいるかはっきりしない状態までなってしまいます。
痛みに強いか弱いかは、皮膚の厚さ/薄さ、筋肉の堅さ/脆さ/柔らかさ/突っ張り感等の違いで決まってくるものです。
従って勇敢か臆病かと言った性格で分けれるものではありません。


とあり、痛みの感受性は、その性格よりもむしろ体質によって決まると考えられています。
この際、皮膚が薄い人と言うのは気血の巡りが早く、敏感で、痛みに限らずあらゆる刺激に対しても敏感である事が多く、その逆に皮膚の厚みがある人では、気血の巡りがとてもゆったりしている為、痛み等に対しても過剰に反応する事は無いのです。
皮膚の状態は、ひとりの人でも,場所や体の状態によって異なるもので、やはり痛みを感じていたり、違和感を感じる様な部分と言うのは、他の健康な部位に比べると皮膚にハリが無かったり、ザラザラしていたり、汗ばんでいたりするものです。
実際、我々が鍼をする前には,お腹の皮膚の状態やツボの周辺の皮膚の状態等を見ながら、鍼の打ち方や深さ等を,その方の体にあった治療になる様に手加減を加えています。

実際に、普段強面の人でも、皮膚が薄かったり筋肉や筋が軟弱だと案外痛みに弱い場合があります。
皆さんの周りにいる人でも、痛みに強い人、弱い人なのかを、皮膚の厚みを探って確認してみるのも面白いですよ。
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天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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コメント
長い間 更新されていなかったので心配してました。
ホッとしました
【2010/06/08 11:32】 | 岐阜の人 #- | [edit]
ご心配おかけしました。
更新していない間も、元気に過ごしておりましたので、ご安心を。
この2、3ヶ月は勉強会の諸事に追われなかなかブログの更新まで手が回りませんでした。
継続するのは大変ですね。
たまに遊びにいらした時に、「お!更新してる」と思われる程度には更新していきたいと思いますので、これに懲りず是非おつきあい下さい。
【2010/06/09 00:34】 | 青峰 #- | [edit]
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