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ツボのお話し~虫が這うような痒み~

2006.03.25(23:38) 82

しばらくツボのお話しが空いてしまいましたが、久しぶりに今日は話題にしてみたいと思います。

先日、海外の方がいらして講習会が大盛況の内に終わり、まだその余波のようなものが抜けない気がしてしまいます。
あちらの方は、日本語が堪能な方はまだまだ少なくて、こちらとのコミュニケーションも専ら通訳の方を介しながら、片言の単語を駆使してと言うような状態でした。
東洋医学は、漢字で表記される事柄が多くて、海外の方が勉強するには相当大変なことと思います。
とくに、ツボの名前を覚えるのも大変な作業であるかと思います。(日本人の僕らでさえ全部覚えるのには相当苦労しました。
そうした中、合理的に学習する為の手段として、ツボを番号で表したりします。
例えば、太陰肺経にある太淵というツボであれば、肺経は英語でLung Meridian、太淵は肺経の中の9番目にあるツボなので、L9=太淵となります。
今や東洋医学が欧米を中心にして、注目されているので、もっとグローバルな医術として、より多くの地域で受け入れやすくする上で、こうしたツボを番号表記にするのも必要かも知れません。
しかし、このツボ番号表記によって、ツボが本来持つ意味を失ってしまってはいけないと思うのです。
ツボの名前には、その名前にツボの位置だとか、ツボの持つ効果、生理・解剖などが意図されて命名されています。

足の厥陰肝経に蠡溝(れいこう)穴というツボがあります。
蠡溝の蠡の字は、虫が木の中にあって木を喰っている様を表す漢字です。
そして、溝は丁度このツボの位置するところが小さな溝(窪み)の様になっています。
足の厥陰肝経の流れは、足の親指から始まって下肢の内側を上っていき、そして下腹部では生殖器をめぐっています。
この生殖器(デリケートゾーン)に痒みがでる時、あたかもそれは木の中で虫がムズムズと這うような痒みをきたすものであります。
その時に、この蠡溝穴に著明な反応が出たり、更にそう言った症状の治療の際に用いたりするのです。
つまりツボの名前を見るだけで、そこに診察点、治療点としての示唆が込められています。
臨床の際、こうしたツボの名前の由来に従って、診断・治療をしてみると、いつも古代の人の観察眼と知恵に恐れ入ってしまいます。
これを番号表記にすると、肝経はLiver Meridian、蠡溝は肝経の5番目にあるツボなのでLiv5となります。
ただのLiv5では、このツボの持つ特性などを伺うことも出来ず、それこそただの位置のみを表す記号となってしまいます。
やはり、ツボの名前に込められた先人達のメッセージを、合理的にツボの位置を覚える為とは言え、無駄にしてはいけないのではないかなあと思ってしまいます。
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天長地久 ~長野県東御市から送る鍼灸師の日常~


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コメント
前回はどうもです。
今回のツボのお話もとても興味深かったです。便利になっている様でも他の面からみたら不便になってしまっていることって結構ありますよね。ひろ~く考えたら現在の環境問題なんてのも技術が進歩した為に生じた代償と考えられますものね
なんでも大切なのは、バランスなんでしょうね、しかし針灸に隠されている知恵ってすごいですね!!!

【2006/03/26 22:28】 | 社会人1年生 #- | [edit]
社会人一年生さん、こんにちは。
早速の書き込み有り難うございます。
仰るとおりバランスって言うのは大切ですね。
丁度、東洋医学の陰陽論(黒と白のオタマジャクシのようなものが円になった図をご覧になったことがあるかと思いますが)というのがそのバランスを端的に表している考え方なんです。
昔の人は、この考えを応用して、政治や経済、占い、農業などあらゆる分野に活用していました。
東洋医学を学ぶたびに、その奥の深さに驚かされてしまいます。
【2006/03/27 18:22】 | 青峰 #- | [edit]
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